逃避行の果て
Public Story

逃避行の果て

ヒスイは薬草を摘み終え、背負い籠を背に、愛馬のクリの頭を撫でた。「よし、こんなものだろう」クリの背に跨ると、埃っぽい道を進み、仮住まいの家へと向かう。立派な家は不要だ。定住を促すような快適さは、今のヒスイには必要ない。雨風を凌げればそれでいい。 家に着くと、村の男が心配そうな顔で立っている。「ヒスイさん、どうか診てください。どうも体調が…」 ヒスイは男を家に入れる。診察など、本意ではない。深入りは避けたい。男を適当に診て、「飲み過ぎでしょう」とありふれた薬を渡し、追い返すように促す。 食料棚を見る。やはり、減ってきた。買い出しが必要だ。ヒスイはクリに乗り、近くの村へと向かう。 腹が減った。村の飯屋に入る。店の中は活気があるが、外からは騒がしい争う声が聞こえてくる。「今日も平和じゃないな」ヒスイは心の中で呟き、無関心を装い、食事を続ける。日持ちする食べ物を買い込まなければ。 食事が終わり、店を出ると、騒ぎはまだ続いている...

上羽薄荷
Author上羽薄荷
Created20. December 2025
Chapters15

Story context

World description

中華風で、文明があまり発展していないような世界。ロバのクリは主人公の大切な相棒。

Initial situation

主人公は薬草を摘んで、これくらいでいいかなと籠をを背負って、相棒のロバのクリの頭を撫でてから、背中に乗って、ボロボロな仮住まいの家へと向かう。立派な家だと定住してしまいそうになるので、雨風が凌げればそれでいいと主人公は思っている。主人公は家に着くと、近くの村に住んでいる村人がいて、体調が悪くなったから診てほしいと言ってきた。主人公は家の中に連れていって、村人を診てやって、ただの飲み過ぎだと言って、適当に薬を渡してあしらう。あまり人と深く関わりたくないのだ。家の中の食料棚を見て、そういえば、食べ物が不足していたなと主人公は近くの村に買い出しに行くことにした。主人公はお腹が空いたなと飯屋の中に入って食べていると、外で争う音が聞こえてきて、今日も平和じゃないなと主人公は無関心を装って、食事を続ける。食べ終わったら、日持ちする食べ物を買い込もうと主人公は考える。食べ終わって主人公が外に出ても、争い事が続いている。主人公は邪魔だなと思いながら、横を通り過ぎる...

Objective

厄介事が起きても主人公はなるべく関わりたくないが、元々は正義感が強いため、関わってしまう。主人公は関わったら手っ取り早く解決すること。

Character introduction

ヒスイ

ヒスイ

Personality飄々としている 嘘が上手い 本心は隠しがち
Flaws本心を言わない。
Appearance茶色の長い髪を後ろで纏めている 茶色の瞳 キリッとした涼やかな目元 無表情だと冷たい印象があるため、笑顔を常に作っている
Backstory薬の材料を売ったりして生活しているため、薬の材料を集めるために色んな所を気ままに旅をしている。知り合いの影響で医術にも詳しいので、頼まれたら、診たりしている。かつては義賊のようなことをしていたが、自分の力を過信して大切な人を失ったり、信じて付いてきてくれた何人も犠牲にしてしまった過去があり、今は戦うと強いということを隠して、か弱い振りをしている。過去のようにはなりたくないという気持ちから、過去の名前を捨てて、人付き合いが良さそうに見えて、人と深く関わらないようにして生きている。一人旅をしていると女性だと面倒事が多いため、いつも男装して、男の振りをしている。
Relationship主人公は人と深く関わりたくないので、ショウとは出来ればあまり関わりたくないが、気にかけてしまう。 ショウは主人公のそばに何となくいたいと懐いてくる。

Chapter samples

1
Chapter 1
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ヒスイは薬草を摘み終え、背負い籠を背に、愛馬のクリの頭を撫でた。「よし、こんなものだろう」クリの背に跨ると、埃っぽい道を進み、仮住まいの家へと向かう。立派な家は不要だ。定住を促すような快適さは、今のヒスイには必要ない。雨風を凌げればそれでいい。 家に着くと、村の男が心配そうな顔で立っている。「ヒスイさん、どうか診てください。どうも体調が…」 ヒスイは男を家に入れる。診察など、本意ではない。深入りは避けたい。男を適当に診て、「飲み過ぎでしょう」とありふれた薬を渡し、追い返すように促す。 食料棚を見る。やはり、減ってきた。買い出しが必要だ。ヒスイはクリに乗り、近くの村へと向かう。 腹が減った。村の飯屋に入る。店の中は活気があるが、外からは騒がしい争う声が聞こえてくる。...

ヒスイは薬草を摘み終え、背負い籠を背に、愛馬のクリの頭を撫でた。「よし、こんなものだろう」クリの背に跨ると、埃っぽい道を進み、仮住まいの家へと向かう。立派な家は不要だ。定住を促すような快適さは、今のヒスイには必要ない。雨風を凌げればそれでいい。 家に着くと、村の男が心配そうな顔で立っている。「ヒスイさん、どうか診てください。どうも体調が…」 ヒスイは男を家に入れる。診察など、本意ではない。深入りは避けたい。男を適当に診て、「飲み過ぎでしょう」とありふれた薬を渡し、追い返すように促す。 食料棚を見る。やはり、減ってきた。買い出しが必要だ。ヒスイはクリに乗り、近くの村へと向かう。 腹が減った。村の飯屋に入る。店の中は活気があるが、外からは騒がしい争う声が聞こえてくる。「今日も平和じゃないな」ヒスイは心の中で呟き、無関心を装い、食事を続ける。日持ちする食べ物を買い込まなければ。 食事が終わり、店を出ると、騒ぎはまだ続いている。大勢の男たちが一人を取り囲んでいる。ヒスイは邪魔だなと思いながら、通り過ぎようとする。「一人に大勢って、卑怯じゃないかな」つい、口が滑る。 男たちが一斉にこちらを向く。しまった、と思う。ヒスイはにこりと笑い、「いっぱい動くとお腹が空くでしょう。そこの飯屋はとても美味しいですよ」と勧め、逃げるようにその場を離れる。 市場で乾物を買い込む。先ほどの青年が気になったが、もう関わるのはよそう。過去の二の舞はごめんだ。 クリに跨り、村を出ようとした時、背後から声がする。「あの、ありがとうございます!」 振り返ると、先ほどの青年が立っている。顔には殴られた跡が残り、服も汚れている。彼は深々と頭を下げ、「助けていただいた恩は一生忘れません!」と言う。 ヒスイは困惑する。また厄介事に巻き込まれるのか? このまま無視して立ち去るか、それとも… 青年は必死な目でヒスイを見つめている。「もし、よろしければ、少しだけお話を聞いていただけませんか…?」 ヒスイはため息をつく。やはり、放っておけないのか。 「…一体何があったんだ?」 そう問いかけた時、背後から複数の男たちが現れる。その顔には明らかな敵意が浮かんでいる。 「見つけたぞ、ショウ!」 逃げるか、戦うか、それとも…どうする?

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Chapter 2
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ヒスイは、戦うのは最後の手段だと考えている。ここで力ずくで解決しても、後々まで尾を引く可能性がある。まずは話を聞いて、穏便に済ませられるなら、それが一番だ。「ちょっと待て!」ヒスイは男たちに声をかける。「一体、何があったんだ? 話し合えば済むことかもしれないだろう?」 男たちはヒスイを警戒した目で見る。「お前には関係ない!」一人が吐き捨てるように言う。「ショウという奴が、俺たちの金を盗んだんだ!」 ショウは慌てて首を横に振る。「違います! そんなことしてません! これは濡れ衣です!」 ヒスイは腕組みをして、二人を交互に見る。ショウの目は必死だが、男たちの目は憎悪に満ちている。どちらが正しいのか、一目では判断できない。 「濡れ衣だって言うなら、証拠があるのか?」ヒス...

ヒスイは、戦うのは最後の手段だと考えている。ここで力ずくで解決しても、後々まで尾を引く可能性がある。まずは話を聞いて、穏便に済ませられるなら、それが一番だ。「ちょっと待て!」ヒスイは男たちに声をかける。「一体、何があったんだ? 話し合えば済むことかもしれないだろう?」 男たちはヒスイを警戒した目で見る。「お前には関係ない!」一人が吐き捨てるように言う。「ショウという奴が、俺たちの金を盗んだんだ!」 ショウは慌てて首を横に振る。「違います! そんなことしてません! これは濡れ衣です!」 ヒスイは腕組みをして、二人を交互に見る。ショウの目は必死だが、男たちの目は憎悪に満ちている。どちらが正しいのか、一目では判断できない。 「濡れ衣だって言うなら、証拠があるのか?」ヒスイはショウに問いかける。 ショウは俯き、弱々しく答える。「…ありません。でも、本当に盗んでないんです!」 男たちは嘲笑する。「ほら見ろ! やっぱり嘘つきだ!」男たちはショウに詰め寄ろうとする。 ヒスイは両手を広げ、男たちを制止する。「落ち着け! 証拠がないなら、決めつけるのは良くない。それに、こんな大勢で一人を追い詰めるのは、感心しないな」 男たちはヒスイの言葉に戸惑う。「お前、こいつの味方なのか?」 ヒスイは肩をすくめる。「味方というわけじゃない。ただ、道理を重んじたいだけだ。もし本当に盗んだという証拠があるなら、しかるべき場所に訴えるべきだろう」 男たちは顔を見合わせる。ヒスイの言葉には、どこか人を納得させる力がある。しかし、彼らの怒りは収まらない。 「証拠はないが、こいつが盗んだのは間違いないんだ! こいつの顔を見ればわかる!」 ヒスイはため息をつく。やはり、話は平行線のままだ。これ以上、言葉を尽くしても無駄だろう。逃げるか、それとも… その時、一人の男が剣を抜き、ショウに斬りかかった。「話は終わりだ! 死んで償え!」 ヒスイは咄嗟にショウを庇い、男の剣を受け止める。剣はヒスイの腕をかすり、鮮血が飛び散る。 「やっぱり、戦うしかないのか…」ヒスイは呟き、覚悟を決める。どうする、ヒスイは戦ってショウを助けるのか、それとも見捨てるのか、その決断が迫られている。

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Chapter 3
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ヒスイは剣を避けるように素早くしゃがみ込み、地面の砂利を掴むと、男の顔を目掛けて投げつけた。男は悲鳴を上げ、剣を取り落とす。他の男たちには、服の中に隠し持っていた粉末の睡眠薬を投げつける。粉末は風に乗って男たちの顔にかかり、たちまち意識が朦朧とし始める。 「クリ、行け!」ヒスイはクリの背中を叩き、先に走らせる。そして、ショウの手を掴み、全速力で走り出した。かつて義賊として名を馳せたヒスイは、本気で走れば並の人間には追いつけないほどの速さを持つ。 「早く! 追いつかれるぞ!」ヒスイはショウに声をかける。ショウは必死にヒスイに食らいつき、一緒に走る。背後からは、男たちの怒号が聞こえてくるが、徐々に遠ざかっていく。 しばらく走ると、人気のない森にたどり着いた。ヒスイは足を...

ヒスイは剣を避けるように素早くしゃがみ込み、地面の砂利を掴むと、男の顔を目掛けて投げつけた。男は悲鳴を上げ、剣を取り落とす。他の男たちには、服の中に隠し持っていた粉末の睡眠薬を投げつける。粉末は風に乗って男たちの顔にかかり、たちまち意識が朦朧とし始める。 「クリ、行け!」ヒスイはクリの背中を叩き、先に走らせる。そして、ショウの手を掴み、全速力で走り出した。かつて義賊として名を馳せたヒスイは、本気で走れば並の人間には追いつけないほどの速さを持つ。 「早く! 追いつかれるぞ!」ヒスイはショウに声をかける。ショウは必死にヒスイに食らいつき、一緒に走る。背後からは、男たちの怒号が聞こえてくるが、徐々に遠ざかっていく。 しばらく走ると、人気のない森にたどり着いた。ヒスイは足を止め、息を整える。ショウも肩で息をしながら、地面にへたり込む。 「大丈夫か?」ヒスイはショウに問いかける。 ショウは頷き、「ありがとうございます! 助けていただいて、本当に感謝しています!」と言う。 ヒスイは腕の傷を見る。浅い傷だが、血が滲んでいる。 「礼ならいい。それより、一体何があったんだ? なぜ、あんな男たちに追われていたんだ?」ヒスイはショウに問い詰める。 ショウは困ったような顔をする。「実は…」 ショウは、自分が大きな街の商家で育ったこと、世間知らずでお人好しな性格であること、そして、ある目的のために家を飛び出してきたことを話し始めた。 「実は、小さい頃に誘拐されかけた時、スイレンという仮面をつけた女性に助けてもらったんです。その人のことをずっと探しているんです」ショウは目を輝かせて言う。 ヒスイは眉をひそめる。「スイレン…? 」 ヒスイが過去に義賊として活動していた頃に名乗っていた名前だ。 「そのスイレンという女を探して、どうするつもりだ?」ヒスイは警戒しながらショウに問いかける。 「お礼を言いたいんです! そして、できれば、また会いたいんです!」ショウは純粋な目でヒスイを見つめる。 ヒスイはため息をつく。また、厄介事に巻き込まれそうだ。ショウの純粋な想いを考えると、放っておけない気持ちもある。 「わかった。スイレンという女について、少し調べてみよう」ヒスイは言う。「だが、期待はするな。彼女が見つかるかどうかは、わからない」 ショウは嬉しそうに笑う。「ありがとうございます! ヒスイさんには、本当に感謝してもしきれません!」 ヒスイはショウの笑顔を見る。過去の自分を重ね合わせているのか、それともただ単に情に絆されているのか、ヒスイ自身にもわからない。

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